2016年05月25日

【本日の一枚】それぞれの椅子 / 乃木坂46

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【本日の一枚】それぞれの椅子 / 乃木坂46

今ノリに乗ってる秋元康ファミリーアイドル: 乃木坂46。
妹グループの欅坂46の猛攻を後押しに本家も奮闘している模様。
一昨年のファーストアルバム: 透明な色が満を持して出た分、今作は意外に短いスパンで出た印象。
10-14thのシングル曲及びそのカップリングを中心に、新曲や過去名曲を配し、4仕様に渡って展開されている。

極め付けは真夏の全国ツアーをDVD3枚に分けて3仕様に割り振っているあたり、アコギな戦法である。
正直、やってくれたなぁ感は否めないのだが、新曲や全体的な意匠は悪くかいので、その辺を差っ引いてこんなものかなぁという印象。

新曲が良い曲が多い。
特に欲望のリインカーネーション→悲しみの忘れ方の流れは歌詞の連携、曲調の転換点的にも実に素晴らしい。

ただそこが良かった分シングル曲の順にひねりを入れられておらず、解釈の奥行きを出させる演出はなかったのが残念。
シングル表題曲はいい曲だったなぁという感想しかもたらせず、一歩間違えば単なる寄せ集めベストに成り下がるところだろう。

ビジュアル面はなかなか面白く、第一印象としてはPerfumeの世界観のにおいのする意匠。
国立新美術館を背景に、チームカラーの紫を赤と青の2ベクトルに分解し構成された写真作品は図形的相似性があらゆるところにちりばめられているのではと思わず深読みをしたくなる。



しかしこういう多数仕様に跨るアルバムはアイドル商法以外にもはびこっているがこの悪印象は何から来るか。
言わずもがな同額ないしそれに準ずる金額帯を設定しておきながら、そして音楽を売り物にしている媒体で曲がかぶることが最も愚かしいことである。
2500-3500円の金額帯で10数曲が手に入る相場の中で、2倍の金額を払っても2倍の音楽は聴けない。

ただ音楽というある種芸術作品は、一曲の価値と金額とは一致しない。他の曲とリンクすることで価値や意味が上がることもあれば、曲数がいくら増えても金額は大して高くはならないケースもある。

それぞれの椅子は、完全に意味が異なる通常盤を除いた4仕様で考えれば16曲中全てに共通しているのは8曲の半分とまだマシな方だが、もしこれでアルバム構成が練られていて全曲が繋がることで意味が広がってくればそこまでエゲツなくない音楽作品になるのではないだろうか。

平たく言えば、
音楽というかエンタメパッケージに一般人はお金をかけなくなった時代の中でいかにしてファン一人にお金を落とさせるか、すなわち一客単価を上げるかということに頭を使った結果である。
ニューシングルとライブDVDを売るより、ブルーレイを作る手間を省き新作MVも撮る手間を省き、過去曲ベスト要素も入れて新規にファンを獲得しつつ、でも新作を提供するくらいの良心は見せ既存ファンのお布施の最大化を図る。
その結果がこの4仕様に跨る大作だと思えば、アコギ感はなくはないが、まぁ比較的良心的な部類だろうと言えるのではないか。

普段シングル全仕様を買ってあげるほどの信心深くない1ファンのお布施としては、まぁ妥当なところである。

新曲がいい曲だったからそこで納得できる。
posted by Lobgesang / Blog at 09:09| 神奈川 ☁| レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする